半正定値行列は半正定値の平方根をただ一つ持ち,それを主平方根と呼ぶ
主平方根が存在することの証明
半正定値行列に関して,を満たすが存在することを証明する.
は半正定値であるから,対称行列でもある.よって,ある直交行列によって,と表せる.()
ここで,とおき,とする.ここで,Bは半正定値行列となることに注意する.
を計算する.
これで[tex:B2=A]を満たす半正定値行列が存在することが言えた.
主平方根が一意的に定まることの証明
背理法で示す.かつを満たす,半正定値行列が存在すると仮定する.すると,となる非零固有値と固有ベクトルが存在する.(すべての固有値が0だとするとに矛盾する.)また,とスカラーの転置は一致することからである.これらからであり,の半正定値性からであり,で仮定に矛盾しであることがいえた.